令和5年度 秋期 ネットワークスペシャリスト 問1 TCPのスループット計算
TCPのウィンドウサイズ、往復遅延時間、回線速度の関係から、論理的な最大スループットを算出する計算能力を問う問題です。
回線速度が 100M ビット/秒、往復遅延時間が 10 ミリ秒のネットワークにおいて、TCP のウィンドウサイズが 32k バイトのとき、論理的な最大スループットは何 M ビット/秒か。ここで、1k バイトは 1,000 バイトとする。
ア 2.56 イ 25.6 ウ 32 エ 80
【解説】
TCPのスループットは、送信側が応答確認(ACK)を待たずに送信できるデータの総量(ウィンドウサイズ)と、データを送ってから応答が返ってくるまでの時間(RTT:往復遅延時間)によって決定されます。
論理的な最大スループットを求める公式は以下の通りです。
$$ \text{スループット} = \frac{\text{ウィンドウサイズ}}{\text{往復遅延時間 (RTT)}} $$
まず、単位をビットと秒に統一します。
ウィンドウサイズの変換 問題文より $1\text{k} = 1,000$ なので、 $$ 32,000\text{ バイト} \times 8\text{ ビット} = 256,000\text{ ビット} $$
往復遅延時間の変換 $$ 10\text{ ミリ秒} = 0.01\text{ 秒} $$
スループットの算出 $$ \frac{256,000\text{ ビット}}{0.01\text{ 秒}} = 25,600,000\text{ bps} = 25.6\text{ Mbps} $$
この計算結果(25.6 Mbps)は回線速度(100 Mbps)を下回っているため、ウィンドウサイズがボトルネックとなり、スループットは 25.6 Mbps となります。
sequenceDiagram
participant S as 送信側
participant R as 受信側
Note over S: ウィンドウサイズ分(32KB)を連続送信
S ->> R: データ送信開始
R ->> S: 最初のデータのACK到達
Note over S,R: この間がRTT (10ms)
Note over S: RTT内に送れるデータ量が制限
【選択肢の吟味】
| 選択肢 | 判定 | 解説 |
|---|---|---|
| ア | 誤り | 単位計算ミス、あるいは1k=1,024での計算ミス等の可能性があります。 |
| イ | 正解 | 上記計算の通り、25.6 Mbps が論理的な最大値となります。 |
| ウ | 誤り | ウィンドウサイズの数値(32)をそのまま単位変換せずに引用した誤りです。 |
| エ | 誤り | 回線速度や遅延時間を考慮しない、根拠のない数値です。 |
【ポイント】
スループット = ウィンドウサイズ ÷ RTT の公式を暗記する。
単位変換の罠(k=1000か1024か、バイトかビットか)に注意する。
算出結果が回線速度(物理上限)を超えていないか最後に確認する。

