本記事はネットワークスペシャリスト試験の過去問解説です。
令和4年度 ネットワークスペシャリスト 午前Ⅱ 問1 スライディングウィンドウ
TCPのスライディングウィンドウ方式における最大スループットを求める問題。往復遅延時間とウィンドウサイズの相関を把握することが解法の鍵である。
TCPのスライディングウィンドウ方式において、ウィンドウサイズを$W$バイト、1往復の遅延時間(Round Trip Time)を$RTT$秒とすると、理論上の最大スループット(ビット/秒)を表す式はどれか。ここで、通信回線は十分な帯域をもち、パケットロスは発生しないものとする。
【解説】
TCPのスライディングウィンドウ方式では、送信側は受信側からの確認応答(ACK)を待たずに、ウィンドウサイズで指定された量のデータを連続して送信できる。
理論上の最大スループットを導き出すプロセスは以下の通り。
1サイクル(RTT)あたりの転送量 送信側がデータを送り始めてから、そのデータのACKを受け取るまでの時間($RTT$秒)の間に、最大でウィンドウサイズ($W$バイト)のデータを送ることができる。
単位時間あたりの転送量(バイト/秒) $$スループット(Bps) = \frac{W}{RTT}$$
単位の変換(ビット/秒への変換) ネットワークの伝送速度(スループット)は一般に「ビット/秒 (bps)」で表される。1バイト=8ビットであるため、上記に8を乗じる。 $$スループット(bps) = \frac{8 \times W}{RTT}$$
sequenceDiagram
participant S as 送信側
participant R as 受信側
Note over S: データ送信開始 (Wバイト)
S ->> R: ウィンドウいっぱいに送信
R -->> S: ACK (確認応答)
Note over S: ACK受信までが1 RTT
Note over S: この間に送信できるのがWバイト
【選択肢の吟味】
| 選択肢 | 判定 | 解説 |
|---|---|---|
| ア | 誤 | $W / (8 \times RTT)$ となり、単位の乗除が逆である。 |
| イ | 誤 | $W / RTT$ は「バイト/秒」の単位であり、設問の「ビット/秒」に適合しない。 |
| ウ | 正 | 上記解説の通り、ビット換算(8倍)したデータ量を$RTT$で除したものである。 |
| エ | 誤 | $8 \times RTT / W$ は「1ビット送るのにかかる時間」を表す式である。 |
【ポイント】
単位換算の徹底:ネットワーク試験ではバイト(B)とビット(b)の変換が頻出するため、必ず確認する。
スループットの定義:スループット = 転送データ量 ÷ 転送にかかった時間。
RTTの理解:往復遅延時間が大きいほど、同じウィンドウサイズではスループットが低下する。
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2026年9月19日
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