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"title": "IPA 午前2 信頼性計算:直列・並列システムの信頼度算出方法",
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直列・並列システムの信頼度は、部品の信頼度から積と非信頼度の積で算出する。</p>
<h3 class="wp-block-heading">背景</h3>
<p>システム設計において、システムの構成要素の信頼度がシステム全体の信頼性に与える影響を評価することは不可欠である。特に、複数の部品で構成されるシステムの可用性を確保するためには、各部品の接続方式に応じた全体信頼度の算出方法を理解する必要がある。</p>
<h3 class="wp-block-heading">問題点</h3>
<p>システムの部品が直列に接続されている場合と並列に接続されている場合とで、システム全体の信頼度の計算方法が根本的に異なる。この違いを正確に把握し、設計目標に応じた適切な冗長化や信頼性向上策を検討することが、信頼性の高いシステムを構築するための課題となる。</p>
<h3 class="wp-block-heading">計算/手順</h3>
<p>システムの信頼度 <code>R</code> は、ある期間にシステムが故障せずに稼働する確率を指し、0から1の間の値を取る。非信頼度 <code>F</code> は、その期間にシステムが故障する確率であり、<code>F = 1 - R</code> の関係が成り立つ。</p>
<h4 class="wp-block-heading">1. 直列システム</h4>
<p>直列システムは、構成要素のいずれか一つでも故障すると、システム全体が故障する。
各構成要素 <code>R1, R2, ..., Rn</code> の信頼度が独立である場合、システム全体の信頼度 <code>R_series</code> は、各構成要素の信頼度の積として計算される。</p>
<p><code>R_series = R1 × R2 × ... × Rn</code></p>
<p>例えば、信頼度0.9の部品が3つ直列に接続されている場合、システム全体の信頼度は <code>0.9 × 0.9 × 0.9 = 0.729</code> となる。</p>
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graph TD
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</pre></div>
<h4 class="wp-block-heading">2. 並列システム</h4>
<p>並列システムは、全ての構成要素が故障して初めて、システム全体が故障する。つまり、いずれか一つの構成要素が機能していれば、システムは稼働し続ける。
各構成要素 <code>R1, R2, ..., Rn</code> の信頼度が独立である場合、システム全体の信頼度 <code>R_parallel</code> は、1から各構成要素の非信頼度 <code>F1, F2, ..., Fn</code> の積を引いたものとして計算される。</p>
<p><code>R_parallel = 1 - (F1 × F2 × ... × Fn)</code>
<code>R_parallel = 1 - ((1 - R1) × (1 - R2) × ... × (1 - Rn))</code></p>
<p>例えば、信頼度0.8の部品が2つ並列に接続されている場合、システム全体の非信頼度は <code>(1 - 0.8) × (1 - 0.8) = 0.2 × 0.2 = 0.04</code> となる。したがって、システム全体の信頼度は <code>1 - 0.04 = 0.96</code> となる。</p>
<div class="wp-block-merpress-mermaidjs diagram-source-mermaid"><pre class="mermaid">
graph TD
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<h3 class="wp-block-heading">要点</h3>
<ul class="wp-block-list">
<li><strong>直列システム:</strong> 全ての構成要素が正常稼働しないとシステムも稼働しない。信頼度は各部品信頼度の積で算出。</li>
<li><strong>並列システム:</strong> いずれかの構成要素が正常稼働すればシステムは稼働する。信頼度は1から各部品非信頼度の積を引いて算出。</li>
<li>信頼性計算はシステムの可用性目標達成に向けた設計の基礎となる。</li>
</ul>
直列・並列システムの信頼度は、部品の信頼度から積と非信頼度の積で算出する。
背景
システム設計において、システムの構成要素の信頼度がシステム全体の信頼性に与える影響を評価することは不可欠である。特に、複数の部品で構成されるシステムの可用性を確保するためには、各部品の接続方式に応じた全体信頼度の算出方法を理解する必要がある。
問題点
システムの部品が直列に接続されている場合と並列に接続されている場合とで、システム全体の信頼度の計算方法が根本的に異なる。この違いを正確に把握し、設計目標に応じた適切な冗長化や信頼性向上策を検討することが、信頼性の高いシステムを構築するための課題となる。
計算/手順
システムの信頼度 R
は、ある期間にシステムが故障せずに稼働する確率を指し、0から1の間の値を取る。非信頼度 F
は、その期間にシステムが故障する確率であり、F = 1 - R
の関係が成り立つ。
1. 直列システム
直列システムは、構成要素のいずれか一つでも故障すると、システム全体が故障する。
各構成要素 R1, R2, ..., Rn
の信頼度が独立である場合、システム全体の信頼度 R_series
は、各構成要素の信頼度の積として計算される。
R_series = R1 × R2 × ... × Rn
例えば、信頼度0.9の部品が3つ直列に接続されている場合、システム全体の信頼度は 0.9 × 0.9 × 0.9 = 0.729
となる。
graph TD
start_s("(開始")) --> A_s["部品A (R1)"] --> B_s["部品B (R2)"] --> C_s["部品C (R3)"] --> end_s("(終了"))
2. 並列システム
並列システムは、全ての構成要素が故障して初めて、システム全体が故障する。つまり、いずれか一つの構成要素が機能していれば、システムは稼働し続ける。
各構成要素 R1, R2, ..., Rn
の信頼度が独立である場合、システム全体の信頼度 R_parallel
は、1から各構成要素の非信頼度 F1, F2, ..., Fn
の積を引いたものとして計算される。
R_parallel = 1 - (F1 × F2 × ... × Fn)
R_parallel = 1 - ((1 - R1) × (1 - R2) × ... × (1 - Rn))
例えば、信頼度0.8の部品が2つ並列に接続されている場合、システム全体の非信頼度は (1 - 0.8) × (1 - 0.8) = 0.2 × 0.2 = 0.04
となる。したがって、システム全体の信頼度は 1 - 0.04 = 0.96
となる。
graph TD
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branch1 --> D_p["部品D (R1)"] --> merge_p
branch1 --> E_p["部品E (R2)"] --> merge_p
merge_p --> end_p("(終了"))
要点
- 直列システム: 全ての構成要素が正常稼働しないとシステムも稼働しない。信頼度は各部品信頼度の積で算出。
- 並列システム: いずれかの構成要素が正常稼働すればシステムは稼働する。信頼度は1から各部品非信頼度の積を引いて算出。
- 信頼性計算はシステムの可用性目標達成に向けた設計の基礎となる。
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