Few-shotプロンプティングの効果的な活用

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本記事はGeminiの出力をプロンプト工学で整理した業務ドラフト(未検証)です。

Few-shotプロンプティングの効果的な活用

Few-shotプロンプティングは、大規模言語モデル(LLM)に対して少数の具体例(インコンテキスト学習)を提示することで、特定のタスクの指示をより効果的に伝える技術です。これにより、モデルは望ましい出力形式、スタイル、推論パターンを学習し、未知の入力に対してより正確で一貫性のある応答を生成できるようになります [2]。

ユースケース定義

Few-shotプロンプティングは、以下のようなタスクで特に効果を発揮します。

  • テキスト分類: 感情分析、トピック分類、スパム検出など、短いテキストを事前に定義されたカテゴリに分類するタスク。

  • 構造化データ抽出: 自然言語テキストから特定のエンティティ(例: 人名、組織名、日付、数値)を抽出し、JSONやCSVなどの構造化形式で出力するタスク。

  • 要約・翻訳: 特定のスタイルや長さ、専門用語の使用が求められる要約や翻訳タスク。

  • コード生成: 特定のプログラミング言語やフレームワークのパターンに沿ったコードスニペットの生成。

制約付き仕様化(入出力契約)

Few-shotプロンプティングを効果的に活用するためには、LLMとの入出力契約を明確に定義し、期待される挙動と失敗時のハンドリングを定めることが不可欠です。

入力契約

  • フォーマット: ユーザーからの質問テキストは自然言語形式であること。

  • 文字数: 原則として10文字以上200文字以下。タスクによっては変動。

  • 内容: 個人情報、機密情報、または差別的・攻撃的な内容を含むテキストは入力不可。

出力契約

  • フォーマット: 指定されたJSON形式または構造化テキスト(例: マークダウンテーブル)。

    • JSON例: {"category": "...", "sentiment": "..."}

    • マークダウンテーブル例:

      | 項目 | 値 |
      |---|---|
      | 名前 | ... |
      | 年齢 | ... |
      
  • 失敗時の挙動: モデルが指定された形式に従えない、または情報抽出に失敗した場合は、エラーメッセージを含むJSON {"error": "Failed to extract information or follow format."} を返す。

  • 禁止事項:

    • ユーザーの個人情報や機密情報を未加工で出力すること。

    • 倫理的に問題のある内容や、偏見を助長する内容。

    • モデル自身に関する言及や、タスク範囲外の不必要な情報。

プロンプト設計

以下に、簡単なテキスト分類タスク(映画レビューの感情分類)を例に、異なるプロンプト設計を示します。

1. Zero-shotプロンプト

例なしで、モデルの汎用的な知識に依存します。

system: あなたはプロの感情分析アシスタントです。ユーザーの入力テキストを「ポジティブ」「ネガティブ」「中立」のいずれかに分類し、JSON形式で出力してください。
user: この映画は退屈で、見る価値がなかった。

2. Few-shotプロンプト

少数の具体例を提供し、モデルにタスクのパターンを学習させます。

system: あなたはプロの感情分析アシスタントです。ユーザーの入力テキストを「ポジティブ」「ネガティブ」「中立」のいずれかに分類し、JSON形式で出力してください。

user: この映画は素晴らしい!最高の体験だった。
assistant: {"sentiment": "ポジティブ"}

user: 予想通りで特に感情は揺さぶられなかった。
assistant: {"sentiment": "中立"}

user: 結末がひどかった。時間の無駄だった。
assistant: {"sentiment": "ネガティブ"}

user: この映画は退屈で、見る価値がなかった。

3. Chain-of-Thought (CoT) 制約型Few-shotプロンプト

Few-shotプロンプトに加えて、モデルが推論のステップを明示的に示す例を含めます。これにより、複雑なタスクにおけるモデルの精度と透明性が向上します [1][4]。

system: あなたはプロの感情分析アシスタントです。ユーザーの入力テキストを「ポジティブ」「ネガティブ」「中立」のいずれかに分類し、推論ステップを記載した上でJSON形式で出力してください。

user: この映画は素晴らしい!最高の体験だった。
assistant:
思考: ユーザーは「素晴らしい」「最高の体験」という肯定的な言葉を使っているため、ポジティブと判断できる。
{"sentiment": "ポジティブ"}

user: 予想通りで特に感情は揺さぶられなかった。
assistant:
思考: 「予想通り」「特に感情は揺さぶられなかった」という言葉は、良くも悪くもないという中立的な意味合いが強い。
{"sentiment": "中立"}

user: 結末がひどかった。時間の無駄だった。
assistant:
思考: 「ひどかった」「時間の無駄」という否定的な言葉が使われているため、ネガティブと判断できる。
{"sentiment": "ネガティブ"}

user: この映画は退屈で、見る価値がなかった。

評価

プロンプト設計の効果を測定するために、自動化された評価シナリオを設定します。

評価シナリオ

  • 正例: 「この映画は感動的だった。」→ ポジティブ

  • 難例: 「この映画は複雑すぎて、一部は面白かったが、全体的には消化不良だった。」→ 中立/ネガティブの判断が分かれる

  • コーナーケース: 「トマトは野菜ですか?」→ タスク外/エラー、または「私は映画が嫌いです。」→ ネガティブ

自動評価の擬似コード

評価には、出力フォーマットの検証と内容の正確性チェックを組み合わせます。

import json
import re

def evaluate_sentiment_output(model_output: str, expected_sentiment: str, expected_format_ok: bool = True) -> dict:
    """
    モデルの感情分析出力を評価する擬似関数。

    Args:
        model_output (str): LLMから生成された出力文字列。
        expected_sentiment (str): 期待される感情("ポジティブ", "ネガティブ", "中立", "エラー")。
        expected_format_ok (bool): 期待される出力が正しいフォーマットであるか。

    Returns:
        dict: 評価結果(format_ok, sentiment_correct, score)。
    """
    result = {
        "format_ok": False,
        "sentiment_correct": False,
        "score": 0
    }

    # 1. JSONフォーマットの検証

    try:

        # CoTの場合、「思考: ...」の行を削除してからJSONをパース

        json_str = model_output
        if "思考:" in model_output:
            json_str = "\n".join([line for line in model_output.split('\n') if not line.strip().startswith('思考:')])

        parsed_output = json.loads(json_str)
        if "sentiment" in parsed_output or "error" in parsed_output:
            result["format_ok"] = True
    except json.JSONDecodeError:
        pass

    # 2. 内容の正確性評価

    if result["format_ok"]:
        if "error" in parsed_output:
            if expected_sentiment == "エラー":
                result["sentiment_correct"] = True
        elif "sentiment" in parsed_output:
            actual_sentiment = parsed_output["sentiment"]
            if actual_sentiment == expected_sentiment:
                result["sentiment_correct"] = True

    # 3. スコア計算 (採点ルーブリック)

    if result["format_ok"] and expected_format_ok:
        result["score"] += 0.5
    if result["sentiment_correct"]:
        result["score"] += 0.5

    return result

# 使用例


# output_zero_shot = '{"sentiment": "ネガティブ"}'


# output_few_shot = '{"sentiment": "ネガティブ"}'


# output_cot = '思考: 「退屈」「見る価値がなかった」という否定的な言葉が使われているため、ネガティブと判断できる。\n{"sentiment": "ネガティブ"}'


# print(evaluate_sentiment_output(output_cot, "ネガティブ"))

# output_format_error = 'これはJSONではありません'


# print(evaluate_sentiment_output(output_format_error, "エラー", expected_format_ok=False))

誤り分析と抑制手法

LLMは多様な失敗モードを持ちます。これらを分析し、適切な抑制手法を講じることでシステムの信頼性を高めます。

失敗モードと抑制手法

  • 幻覚 (Hallucination):

    • 原因: モデルが訓練データから学習したパターンに基づき、事実と異なる情報を自信を持って生成してしまう。

    • 抑制手法:

      • RAG (Retrieval Augmented Generation): 外部の信頼できる情報源から情報を取得し、その情報に基づいて応答を生成させる [5]。

      • 出力の事実確認ステップ: モデルに自身の出力を批判的に評価させたり、人間によるレビューを導入したりする。

      • System指示: 「提供された情報のみに基づいて回答してください。不明な場合は『不明』と答えてください。」などの明確な制約を加える。

  • 様式崩れ (Format Deviation):

    • 原因: プロンプトの指示が不明確、または出力形式が複雑すぎるため、モデルが指定されたJSON、XML、マークダウンなどの形式に従えない。

    • 抑制手法:

      • Few-shot/CoTの具体例: 正しい出力形式の例を複数提示する。CoTでは、形式に至るまでの推論ステップも示す。

      • 出力検証ロジック: アプリケーション側で生成された出力に対してJSON Schema検証や正規表現によるチェックを行う。形式が誤っている場合はリトライを指示する。

      • System指示: 「必ずJSON形式で出力してください。」といった強調を用いた指示。

  • 脱線 (Topic Drift/Elaboration):

    • 原因: プロンプトの指示範囲が曖昧であったり、モデルが与えられたタスク範囲を超えて不必要な情報や関連性の低い内容を生成したりする。

    • 抑制手法:

      • 明確なSystem指示: 「回答はXの範囲内に限定し、Y以外の情報は含めないでください。」と明示する。

      • max_tokensの調整: 出力トークン数を厳しく制限し、冗長な生成を防ぐ。

      • 検証ステップ: 生成された出力がタスクのスコープ内にあるかを自動的にチェックし、逸脱していれば再生成を促す。

  • 禁止事項の出力:

    • 原因: ユーザー入力に差別的、攻撃的な内容が含まれる場合や、モデル自身が潜在的に持つバイアスにより、倫理的に問題のある内容を生成してしまう。

    • 抑制手法:

      • 入力サニタイズ: ユーザー入力をLLMに渡す前に、不適切な内容をフィルタリングまたは修正する。

      • 安全フィルタリング: LLMの出力に対して、安全フィルターを適用し、不適切な内容を検知・ブロックする。

      • モデルの安全設定: 各LLMプロバイダが提供する安全設定(例: Google GeminiのSafety Settings)を活用し、特定のカテゴリのコンテンツ生成を制限する。

改良と再評価

評価結果と誤り分析に基づき、プロンプトの改良を行います。

  1. プロンプトの具体性の向上: 失敗したケースの入力と期待される出力をFew-shot例に追加する。

  2. System指示の調整: エラーメッセージを参考に、より厳密な制約やガイドラインをSystem指示に含める。

  3. CoTステップの最適化: モデルが間違った推論を行った場合、正しい推論パスを示すCoT例を追加する。

  4. 例の多様性: Few-shot例が特定のパターンに偏らないよう、多様な入力例と対応する出力例を含める。

改良後、再度評価シナリオを用いてモデルのパフォーマンスを測定し、改善が達成されたかを確認します。このプロセスを繰り返すことで、プロンプトのロバスト性と精度を継続的に向上させます。

まとめ

Few-shotプロンプティングは、LLMの挙動を特定のタスクに最適化するための強力な手法です。ユースケースの明確化、入出力契約の厳密な定義、Zero-shot、Few-shot、Chain-of-Thoughtなどのプロンプト設計、そして体系的な評価と誤り分析のループを通じて、高品質なLLMアプリケーションを構築できます。この反復的なプロセスは、LLMが持つ潜在能力を最大限に引き出し、実用的なソリューションへと繋がります。

graph TD
    A["プロンプト設計と定義"] --> |プロンプト入力| B["大規模言語モデル (LLM)"]
    B --> |生成された出力| C["出力評価 (自動/手動)"]
    C --> |評価結果| D{"目標達成?"}
    D -- |はい| --> E["本番デプロイ"]
    D -- |いいえ| --> F["誤り分析と学習"]
    F --> |プロンプト改良案| A

参照情報: [1] Wei, Jason et al. “Chain-of-Thought Prompting Elicits Reasoning in Large Language Models.” arXiv, 2022年1月27日. URL: https://arxiv.org/abs/2201.11903 [2] Prompt Engineering Guide. “Few-shot Prompting.” 2024年3月15日更新. URL: https://www.promptingguide.ai/techniques/fewshot [3] OpenAI Blog. “Best practices for prompt engineering with OpenAI API.” 2023年11月8日公開. URL: https://openai.com/blog/best-practices-for-prompt-engineering-with-openai-api [4] Google AI Blog. “Chain-of-Thought Prompting Explained.” 2023年8月1日公開. URL: https://ai.googleblog.com/2023/08/chain-of-thought-prompting-explained.html [5] Google Cloud. “Generative AI on Google Cloud: Prompt design.” 2024年2月20日更新. URL: https://cloud.google.com/vertex-ai/docs/generative-ai/concepts/text-prompts

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