COCOMO IIにおけるソフトウェア開発工数の推定方法

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本記事はGeminiの出力をプロンプト工学で整理した業務ドラフト(未検証)です。

COCOMO IIにおけるソフトウェア開発工数の推定方法

COCOMO IIモデルは、ソフトウェア開発プロジェクトの規模、コストドライバ、スケールファクタを用いて工数を算定する。本記事では、このモデルの基本式と主要因子の関係を解説する。

graph TD
    A["COCOMO IIによる工数推定"] --> B{"開発段階"}
    B -- 'アプリケーション合成' --> C["機能点数/オブジェクト点数"]
    B -- '早期設計' --> D["概算KSLOC"]
    B -- 'ポストアーキテクチャ' --> E["詳細KSLOC"]

    C --> F["工数計算"]
    D --> F
    E --> F

    F -- '規模(Size)' --> G["基本工数式: PM = A * (Size)^B * EM"]
    F -- 'コストドライバ(EM)' --> G
    F -- 'スケールファクタ(A, B)' --> G

    G -- '出力' --> H["推定工数(人月)"]
    G -- '出力' --> I["推定期間"]
    G -- '出力' --> J["推定費用"]

    subgraph 主要要素
        Size("規模"):::important
        EM("コストドライバ"):::important
        A_B("スケールファクタ"):::important
    end

    classDef important fill:#f9f,stroke:#333,stroke-width:2px;

背景

ソフトウェア開発プロジェクトの成功には、適切な工数、期間、および費用の見積もりが不可欠である。しかし、ソフトウェア開発は不確実性が高く、経験則のみに頼った見積もりはしばしば外れる。この課題を解決するため、様々なコスト推定モデルが提案されてきた。COCOMO(Constructive Cost Model)は、その中でも最も広く知られ、実用されてきたモデルの一つであり、COCOMO IIはその最新版である。バリー・ボームらが南カリフォルニア大学(USC)で開発し、2000年頃にその詳細が公開された[1]。

問題点

従来の工数見積もり手法では、経験や類推に依存しすぎ、客観性や再現性に欠けるという問題があった。特に、プロジェクトの特性(技術的な複雑性、チームの能力、要求の安定性など)が工数に与える影響を定量的に評価することが難しく、結果として見積もり精度が低くなる傾向があった。COCOMO IIは、これらの特性を「コストドライバ」や「スケールファクタ」としてモデルに取り入れることで、より客観的かつ体系的な工数推定を可能にすることを目指している。

COCOMO IIによる工数推定の計算と手順

COCOMO IIは、開発の進行度合いに応じて「アプリケーション合成」「早期設計」「ポストアーキテクチャ」という3つの異なるサブモデルを提供する[1]。各サブモデルで用いる規模の測定単位やパラメータが異なるが、基本的な工数計算式は共通している。

基本工数計算式

COCOMO IIにおける工数(人月)を推定する基本的な式は以下の通りである[1][2]。

PM = A * (Size)^B * EM

  • PM (Person-Months): 推定される工数(人月)。

  • A (Scale Factor): プロジェクトの規模とタイプによって決まる定数。

  • Size: ソフトウェアの規模。通常、KSLOC(千行コード)やファンクションポイント(FP)で表される。

  • B (Exponent): スケールファクタ。プロジェクトの規模の経済性(規模が大きくなるほど開発効率がどのように変化するか)を表す指数で、通常1.0から1.26の範囲を取る。Bの値は、プロジェクトの柔軟性、先行開発リスクの解決度、チームの結束度などの「スケールファクタ」によって決定される。

  • EM (Effort Multiplier): コストドライバの積。プロジェクトの特性が工数に与える影響を表す複数の乗数(コストドライバ)の積である。

主要な要素

1. 規模 (Size)

ソフトウェアの規模は、工数推定において最も重要な要素の一つである。COCOMO IIでは、開発段階に応じて異なる規模の測定単位を使用する。

  • アプリケーション合成(Application Composition): プロトタイプ開発など、非常に初期の段階で使用される。オブジェクト点数や機能点数(FP)を基にする[1]。

  • 早期設計(Early Design): 設計段階で、主要なアーキテクチャが固まる前の段階。KSLOC(千行コード)を概算で用いる[1]。

  • ポストアーキテクチャ(Post-Architecture): 詳細設計が完了し、実際の開発が始まる段階。より正確なKSLOCを用いる[1]。

2. コストドライバ (Effort Multipliers, EM)

コストドライバは、プロジェクトの特定の属性が工数に与える影響を調整するための乗数である。COCOMO IIでは、以下の4つのカテゴリにわたる17のコストドライバが存在する[2]。各コストドライバには、非常に低い (VL)、低い (L)、通常 (N)、高い (H)、非常に高い (VH)、極めて高い (EH) の5段階または6段階の評価があり、それぞれに対応する乗数が割り当てられている。

  1. 製品属性 (Product Attributes):

    • RELY (Required Software Reliability): ソフトウェアの信頼性要求

    • DATA (Database Size): データベースの規模

    • CPLX (Product Complexity): 製品の複雑性

    • RUSE (Required Reusability): 再利用性の要求

    • DOCU (Documentation Match to Life Cycle Needs): ドキュメントの適合性

  2. プラットフォーム属性 (Platform Attributes):

    • TIME (Execution Time Constraint): 実行時間制約

    • STOR (Main Storage Constraint): 主記憶制約

    • PVOL (Platform Volatility): プラットフォームの変動性

  3. 要員属性 (Personnel Attributes):

    • ACAP (Analyst Capability): 分析者の能力

    • PCAP (Programmer Capability): プログラマの能力

    • PCON (Personnel Continuity): 要員の継続性

    • APEX (Applications Experience): アプリケーション経験

    • PLEX (Platform Experience): プラットフォーム経験

    • LTEX (Language and Tool Experience): 言語とツールの経験

  4. プロジェクト属性 (Project Attributes):

    • TOOL (Use of Software Tools): ソフトウェアツールの利用

    • SITE (Multisite Development): 複数拠点開発

    • SCED (Required Development Schedule): 開発スケジュールの圧縮度

これらのコストドライバの値は、プロジェクトの特性を詳細に分析して決定され、全てを乗算したものが EM として計算式に適用される。

3. スケールファクタ (Scale Factors)

スケールファクタは、B の指数を決定するための5つの要因である[1]。これらは、プロジェクトの環境や組織が規模の経済性(または不経済性)にどのように影響するかを評価する。

  1. PREC (Precedentedness): 先行開発事例の有無

  2. FLEX (Development Flexibility): 開発プロセスの柔軟性

  3. RESL (Architecture/Risk Resolution): アーキテクチャとリスクの解決度

  4. TEAM (Team Cohesion): チームの結束度

  5. PMAT (Process Maturity): プロセス成熟度(CMMIなどの成熟度レベル)

これらのスケールファクタの評価に基づいて B の値が決定され、より大規模なプロジェクトでの工数の増大率に影響を与える。例えば、プロセス成熟度が高い組織では B の値が小さくなり、効率的な開発が可能となることを示唆する。

計算手順の要点

  1. サブモデルの選択: プロジェクトの現在の開発段階に応じて、適切なサブモデル(アプリケーション合成、早期設計、ポストアーキテクチャ)を選択する。

  2. 規模の推定: 選択したサブモデルに基づき、オブジェクト点数、機能点数、またはKSLOCを用いてソフトウェアの規模を推定する。

  3. スケールファクタの評価: 5つのスケールファクタ(PREC, FLEX, RESL, TEAM, PMAT)を評価し、指数 B を算出する。

  4. コストドライバの評価: 17のコストドライバを評価し、それぞれの乗数を決定。それらを全て乗算して EM を算出する。

  5. 工数の計算: 導出した A, Size, B, EM を基本工数式 PM = A * (Size)^B * EM に代入し、推定工数 PM を算出する。

  6. 期間・要員数の導出: 推定工数から、モデルが提供する期間推定式などを用いて、プロジェクト期間や必要な要員数を導出する。

最新の研究では、COCOMO IIのような古典的なモデルと機械学習アプローチを組み合わせることで、より精度の高いコスト推定を目指す試みも行われている[3]。

要点

  • COCOMO IIは、バリー・ボームらが開発したソフトウェア工数推定モデルである。

  • 基本式は PM = A * (Size)^B * EM であり、規模、コストドライバ、スケールファクタの3つの主要要素で構成される。

  • 開発段階に応じて、「アプリケーション合成」「早期設計」「ポストアーキテクチャ」の3つのサブモデルを使い分ける。

  • コストドライバ(EM)は、製品、プラットフォーム、要員、プロジェクトの各属性を評価し、工数への影響を乗数として適用する。

  • スケールファクタは、プロジェクトの環境や成熟度を評価し、規模の経済性を示す指数 B の値を決定する。

  • これらの要素を客観的に評価し、計算式に適用することで、より精度の高い工数推定を目指す。


参考文献 [1] Boehm, B. W., Abts, C., Brown, A. W., Chulani, S., Clark, B. K., Horowitz, E., … & Madachy, R. (2000). Software Cost Estimation with COCOMO II. Prentice Hall. (参照日: 2024-06-18, 著者: Barry W. Boehm 他, 組織: University of Southern California) [2] University of Southern California, Center for Systems and Software Engineering (CSSE). COCOMO II Model Definition. (参照日: 2024-06-18, 著者: USC CSSE, 組織: University of Southern California) https://csse.usc.edu/csse/research/COCOMOII/cocomo_main.html [3] Singh, S. (2023). Software Cost Estimation with COCOMO II and Machine Learning Approaches. arXiv preprint arXiv:2311.01123. (発表日: 2023-11-01, 著者: S. Singh, 組織: N/A) https://arxiv.org/abs/2311.01123

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